「防火対象物点検」「消防用設備等点検」…字面が似ているものの、全く別個の点検業務です。両者の違いを、目的や対象建築物などから紐解いてみましょう！

違い①　目的と法令

建築物の安全性確保という大前提は同じなのですが、

防火設備定期検査は、建築基準法１２条第３項により、『防火扉』『耐火内装材』等が対象に含まれるのに対して、

消防設備点検は、消防法１７条３項３により、『消火設備』『警報設備』『避難設備』等の消火・避難等に纏わる物が対象となります。

違い②　対象建築物

防火設備定期検査は･･･【政令で指定された特定建築物】で「不特定多数の者が利用する建築物」「高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設」「地域に応じて特定行政庁が定めた建築物」

消防設備点検は･･･【消防法で定められた防火対象物】で「延べ面積1,000m2以上の特定防火対象物」「延べ面積1,000m2以上の非特定防火対象物（※消防長または消防署長が指定したもの）」「屋内階段（避難経路）が１つの特定防火対象物」

もちろん重複する対象物もあります。

違い③　期間・頻度

防火設備定期検査は、一年に１回なのに対して、

消防設備点検は、半年毎の機器点検と一年に１度の総合点検があります（実質半年に一度）。なお所轄消防への点検報告書の提出は毎回ではないのですが、関係者は点検結果を維持台帳に保管する義務があります。（立入検査があった場合、過去の点検実施記録の閲覧を求められるケースもあります）

違い④　点検者

防火設備定期検査の実施者は、一級建築士・二級建築士・防火設備検査員を保持してなければいけません。

消防設備点検は、消防設備士・消防設備点検有資格者(資格講習受講者)で実施しますが、設備種類ごとに保持している資格が適合する必要があります。

違い⑤　検査・点検内容

防火設備定期検査は、防火扉・シャッターが正常動作であるか、貯水槽劣化がないかや、水質・水量なども確認します。
防火設備の不備は、人命確保や二次被害に起因するため適正か否かを点検します。

消防設備点検は、有事の緊急時に作動するかの確認で、消火設備、警報設備、避難設備やその他排煙設備や連結散水設備等も点検します。

違い⑥　報告制度

防火設備定期検査は、建築指導課などの特定の行政庁に報告書は１年に１回提出せねばなりません。

消防設備点検は、消防長または消防署長宛に、建物関係者は点検結果を維持台帳に記録し、特定防火対象物は１年１回、その他の対象建築物は３年に１回報告します。

それぞれの違いを把握しておくことは、建物の所有者・管理者様には重要なことで、建物が定期検査の対象となる場合は、信頼できる業者に点検を依頼するのがスムーズに進みます。

不詳な点、お気軽にお問い合わせください。

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